自分にむかってまっすぐに。「LOVE & HUG」

また誘いたくなる人でいてほしい

気持ちよく奢られるためには、食べ方にも気を配ってほしい。
それだけで食事をしている時間の価値が高まるんだ。

奢る側としては、作法を知らなくてもいい、でも、きれいに食べてほしいと思う。
テーブル周りに気を遣えなくたってかまわないから、ガツガツお皿かぶりつきの犬喰いはしない。

わかりやすく言うと、音を立てずにおそばを食べたり、音を立ててスパゲティーを食べる、スープを飲むってのはいただけない。もっというと肘を立てて食べる、口を開けたまま咀嚼する、口の中に物が入ったまましゃべるというのもダメダメ。

上手くできないなら、最初からできないと伝えておく。
たとえば、ナイフとフォークがうまく使えないのに、使えるふりをする必要はない。知らないことも教わればいい。

ようするに、目の前に座っている相手に不快な思いを抱かせないってこと。
面と向かって食事をするということは、その相手との時間をいかに美しく作るかってことなんだ。

若い頃、大人の人たちからたくさんのことを教えてもらった。
手取り、足取り、ってわけじゃないよ。食事やお酒の席での会話だったり、ふとしたことで気づいたことの中に、宝物のような言葉が実はたくさんあったんだよね。

あれは私が30才の頃だったかなぁ。
尊敬していた年上の女性との食事の席で言われたことがある。

「一年に一度でいいわ。自分が緊張するお相手ときちんとした場所でお食事なさい」。

年を経るごとにこの言葉の持つ重みがわかるようになった。
緊張する相手の前で、襟を正して食事をすることが教えてくれる様々な気づき。仲間との食事、マナー本やお教室では絶対にわからない会話の機微とか、視線のおき方、所作、精神的な距離感等々・・・

そこに気づくかどうかはこちら側の責任だったけれど、昔の大人は、若い私たちを育てようとしていてくれたんだと思う。

だからというわけじゃないけど、私もつい目の前で野暮なことをされると、他の人なら言わないようなことまで言葉にしてしまう。ただし、二度と会うことはないだろうと思う相手には何も言わない。言葉にするのは、見込みがあるからなんだよ。

これから、私と食事をするかもしれない若い方々。
こわがらなくてよくってよ。ただし、美味しく、楽しく、きれいに食べてね。


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